高齢化が進む日本では、高齢者の交通事故も増加しています。それに伴って注目されるようになったのが、運転免許証の「自主返納」です。自主返納とは、まだ有効期限の残っている運転免許証を返納することをいい、他の交通手段に切り替えることで事故の予防につながります。年齢制限はないので、若い方でも手続きさえすれば返納可能です。
ところで、この制度はつい最近できたわけではなく、1988年4月から導入されていました。当初は「免許証を身分証として使えなくなると困る」という問題もありましたが、2002年には公的な身分証明書として使える「運転経歴証明書」が発行されるようになって改善。2012年からは、運転経歴証明書の有効期間が無期限となり、より免許証を返納しやすくなりました。
また、自治体や民間でも、運転免許を返納した人向けの優遇措置を拡大しています。バスやタクシーといった公共交通機関の運賃が値引きされたり、特定の施設の利用料金が割引されたりするのです。なお、こういった優遇措置は年齢の下限を設けていることが多いのでご注意ください。
返納の手続きは、警察署や各運転免許センターで行えます。ただし、現時点では代理人による申請は受理されず、必ず本人が申請しなければなりません。運転経歴証明書の交付申請も同じ場所で行えるので、ぜひもらっておきましょう(後日申請する場合は各地の自動車安全運転センターでのみ可能)。
高齢者に限らず、今後の運転に自信がない方は少なくないはずです。無理に運転を続けて事故を起こしてからでは取り返しがつきません。ご自身や周囲の人の安全を守るためにも、免許の返納を検討してみてはいかがでしょうか。